1. カルシウム輸送の仕組みとは。それにより維持される機能は何か
カルシウム恒常性維持は、生体内局所の細胞内カルシウムシグナルのための重要なシステムで、カルシウムシグナルは細胞の様々な機能発現に関係します。カルシウムシグナルが作動するためには、まず、細胞膜に局在するカルシウムチャネルから細胞外液のカルシウムイオンが細胞内へ供給されなければなりません。私達はこれまでに、熱、炎症、機械的刺激に応答するカルシウムチャネルTRPV4 (transient receptor potential vanilloid 4) のカルシウム代謝調節作用に注目し、正常な破骨細胞機能のためのカルシウムシグナル作動に貢献していることを明らかにしました。(Cell Metab 8 257-265 2008, J Bone Miner Res 27 1708-17212012)
ダイナミックなカルシウム輸送はTRPVsチャネル以外のカルシウム流入系によっても引き起こされます。細胞外のATP代謝により、ATP受容体を介したカルシウム輸送系が小腸で機能すること、食事リン量の変化に応じて輸送量が変化することを明らかにしました。
(Endocrinology 142 494-497,2001, FASEB J 32 1903-1915 2018)
次のステップとして、カルシウム輸送系の違いが生理機能にどのように影響するか、腸、骨、腎臓、筋での機能獲得における重要性を調べています。